自己破産

自己破産の経験

かつて借金返済ができなくなり、自己破産に追い込まれたことがあります。それは、人生でもっとも楽しいはずの、20代半ばのことでした。もともと大して裕福でなかった我が家は、祖父の入院と介護を切っ掛けに、借金を重ねるようになりました。それでも、まだ祖父が存命だった頃はなんとかなっていたのです。しかし亡くなってしまうと、年金分の収入がなくなり、いよいよ窮地に追い込まれました。家族総出で働きますが、多重債務を跳ね返すことはできません。そうこうしているうちに、私自身が重い鬱病を患ってしまい、働くことさえできなくなりました。
恥を忍んで、地方議員をしている知人に相談すると、弁護士を紹介され、債務整理をするよう勧められます。借金返済を止め、自己破産することの後ろめたさはありましたが、背に腹はかえられません。電話で予約を行い、当日は電車に揺られながら、馴染みのない町にある法律事務所を目指しました。

面会した弁護士は、恰幅の良い紳士であり、いかにも頼りになりそうです。終始タメ口なのが気にはなりましたが、説明そのものは実に分かりやすく、不安も和らぎました。もちろん、債務整理に入るためにもお金がかかるのですが、借金を繰り返しただけあって、手持ちはありません。そこで弁護士は、法律扶助を教えてくれました。この制度を使えば、費用を大きく抑えつつ、必要な手続きに入ることができます。こうした救済措置を知っただけでも、遠い弁護士事務所に足を運んだ甲斐がありました。

自己破産のメリット・デメリット

その後も、債務の明細や、預金通帳を持参しつつ、何度か打ち合わせを繰り返します。いわゆるブラックリストに掲載されるため、しばらくローンなどは組めないことも教えられました。借金返済が滞っている多重債務者である以上、すでに信用情報は毀損していますから、今更といえば今更です。

以前、奨学金の返済が滞り、裁判所に呼び出されたことがあり、その際の重い記憶がはっきりと刻み込まれていました。そのため、また被告席に立つことになるのかと憂鬱でしたが、自己破産においては、そんな懸念は無用です。ほとんどを弁護士が代わりに行ってくれるので、こちらはただ手続きが済み、免責を待つのみでした。官報にも自分の名前が載ったのでしょうが、実際に確認したことがありません。試みにインターネットで検索もしてみましたが、本名や住所は出てきませんでした。

自分のケースの場合、借金返済が終わるまえに自己破産しましたので、過払い金などはありません。その後は体を治しつつ、少しずつ仕事を再開していきました。クレジットカードが作れないのには閉口しましたが、昨年、ようやく発行されることになり、一安心です。いずれにせよ、部屋の中で頭を抱えているだけでは、なにも解決しません。やはり適切な人に相談して、専門家の力を借りるのが最善策です。同時に、2度とこのようなことにならないよう、生活設計を堅実なものにしていきます。